士業はクライアント企業と深くお付き合いをさせていただくため、その会社のあらゆる顔を目にします。営業努力や職場の友情など素晴らしいところを見ていくと、本当に素敵な会社さんのお手伝いをさせていただけるんだなぁと思います。他方で、グレーやブラックな部分に直面するときもあります。そのとき、私たちはどのような態度を取るべきか、悩みが生まれます。
グレーは構わない。ブラックはダメ。
当たり前ですが、違法はダメです。必要な許認可を得ずにビジネスをしたら、それは言い訳無用にアウトです。法律上の罰則だって適用されてしまいます。罰金が小さくたって、違法営業をおこなったレッテルを剥がすことは簡単ではありません。
税金で言えば、節税は良いけど脱税は違法ってよく言います。事実の評価は様々あり得ますが、事実そのものは一つです。その事実を捏造したり捻じ曲げることは許されません。
私たちは様々なルールのもとで生活を行っています。経済活動は憲法上も公共の福祉の制限に服すると規定しています。(正しい)ルール・法律というのが、公共の福祉です。
「今、仕事をストップしたら、従業員が路頭に迷ってしまう」
だから違法営業をして良いかと言えば、それも正当化はできません。法律の解釈によってグレーになるならば良いと思いますが、そうでなければ路頭に迷わないように社会保障があるという論理に飲み込まれてしまいます。
ダメなことに対してダメというだけではダメ
ただ、様々な活動に関与する私たちが、「それは違法だからダメですよ」と言っているだけでは、何にも意味がありません。
最近は役所もいろいろと丁寧に手続きを案内してくれますから(昔は違ったそうです)、手間を惜しまなければ手続きは自分でできますし、違法に対して「ダメ」と釘を刺すことも、行政が気がつけば向こうから言ってきます。それをそのまま私たちのような仕事に従事している人がやってみても、「じゃあ、君必要ないよね」ってなってしまいます。
もし、行政書士に代行業以上の意味があるとすれば、こういう場面で役所も、当人もアプローチできない筋書きを法律的に提案することではないかと思います。少なくとも、その努力をするところに意味があるのではないでしょうか。
切った張ったの世界ではありませんが、役所は役所の立場で動きます。自分の自由な発想で動くというよりも、役所内部の様々なルールにしたがって動く以上、彼らに提案を期待するのは建設的ではありません。役所は優秀な人材がすごく多いですが、そういう提案をするために雇用されているわけではないのです。うまく言えませんが、立場が違うのです。
役所が採用でき得るロジックを練り、お客様の利益を守ろうとする。そういう努力をすることで、行政書士としての力はどんどん成長するのではないかと思います。
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【編集後記】
先日ご紹介させていただいた「小規模事業持続化補助金」について、各方面からお問い合わせがあります。今回は60歳以上の申請者については事業承継の意向を確認する書面も提出が求められています。二回目以上の申請者は、前回までと全く同じと考えないように気をつけてください。
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