所属団体の役職を務めることの仕事上の価値

業界の役を引き受けることは、仕事に直結するものではありませんが、自分のスタンスをつくっていくうえでとても学びの多き場所ですので、業歴の浅い方も機会があるなら積極的にお受けされることをお勧めします。

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箱根にて(打ちっ放し)

私は行政書士として、神奈川県行政書士会の湘南支部というところに所属しています。支部では幹事という立場で、研修部の部長を務めさせていただいております。こういう担いを持つことについては、ネガティブな意見も少なからず耳にします。時間がもったいない、と。

私は、行政書士として独立して6年目に突入するところなのですが、神奈川県行政書士会湘南支部の執行部には登録して数ヶ月で参加させていただくことになりました。アクが少なく、お酒が飲めて、最低限のマナーがあるというような理由だと思うのですが(笑)、先輩たちから「一緒にやろうよ」って声をかけていただきました。

開業当初、私はそれほど具体的なビジョンというか、この業界で何をしていくかということのイメージをほとんど持ち合わせておらず、試験には受かったものの、どんな仕事をするのかは、テレビドラマの『カバチタレ』くらいのイメージしかありませんでした。そのため、初めて湘南支部の行事に顔を出したときも、先輩先生方の前で「まだ良く分かっていないので、少しずつ慣れていけたらと思います」というくらいのボヤッとしたご挨拶しかできませんでした。

行政書士に限らないと思いますが、いわゆる士業の業界というのは私のように地に足のついていないようなところからスタートする人が少なくありません。試験に受かることが目的になっていることが普通ですし、業界研究というのを十分にしているくらいなら勉強すべきだと思うからです。「じゃあ、なんで行政書士になったの?」と言われれば、ぶっちゃけて言ってしまえば「独立しやすそうだったから」というくらいの理由なわけです。それを、多くの人は後付けで「まちの法律家として市民に寄り添って・・・」と言っているのが普通ではないかと思います。

さて、そんな私が行政書士会の担いを受けて、かれこれ4年半くらいが経とうとしていて、気がつけば部長という職を仰せつかるようになりました。それを振り返ってみると、やっぱりこういう機会を頂けるのであれば、参加させていただくのが良いのではないかと思います。

業界を知ることができる

先ほど書きましたが、私は行政書士の業界のことをよく理解せずに行政書士になりました。もともと弁護士を目指して法科大学院(ロースクール)にも3年間通っていたのですが、どうにも合格できる気がせず、卒業して司法試験を2回受験して方向転換しました。

それで行政書士になったものの、実際のところ「どんな商売か?」という点については全然イメージを持っていなかったため、途方にくれていたのが正直なところです。

ただ、支部の執行部に仲間入りさせていただき、会議の場で先輩たちのやりとりを聞いていて、懇親会の場でさらに生のお話を聞いているうちに、おぼろげながらこの業界のことを知り、依頼者との関わり方を知り、仕事の中身を知っていくことができるようになってきます。

そして次第に、自分の進むべき道というものが見えてきたのではないかと思います。

仲間ができる

業界の役に就いている人は皆、事業主です。それぞれが自分の仕事の拡大を目指して日々努力を重ねています。とすると、ライバル同士となってしまわないか?という懸念が生まれます。

たしかに、行政書士の仕事が幅広いと言っても、それほど差があるわけではなく、相続だったり遺言というようなオーソドックス(ですが奥深い)な仕事は大なり小なり関わりますし、建設業をはじめとする許認可の手続きにも概ねみんな関わっています。つまり、共通項というものが結構あるため、競合が全くないかといえば嘘になると思います。

でも、実際に仕事をしていくと、お互いに情報交換をさせていただきますし、お仕事を融通しあうことも少なくありません。何より、商売だけど士業、という感じで皆さんおおらかで、躍起になって敵対心を出すような人に私は出会ったことがありません。

むしろ、本当につらいときに相談に乗ってもらったり、ご飯をご馳走になったり、仕事でピンチになった時に支えてくださったり、一緒に旅行に行かせてもらったりと、深い信頼関係も芽生えますし、とても楽しいものです。

責任感が生まれる

ベテランの方々のお話をお聞きしていると、「行政書士として」というスタンスの話題が出てくることがあります。社会的な状況を踏まえ、私たちが何をしていくべきなのか?という視点は、業界の執行部にいる人たちは常に話し合っていますし、それに伴って、私自身の意識も変わってきたと思っています。

行政書士という仕事が、これからの未来も社会に必要とされるために、どのような取り組みが求められているのか。ビジネスとしてだけでなく、公益的な視点から考えられるようになったのは先輩たちがいたからであり、私ひとりでは絶対にそういう視点を持つことはなかったと思います。

以上、いかがでしょうか?

このような効果が少なくとも私には感じられたから、たぶん今の私の位置があって、なんとか仕事を続けてくることができたと思ってますし、だからこそ、恩返しの意味でも支部のお役目は必要とされる限りは果たしていきたいと思っています。

自分の業界の人と関わっていても・・・というネガティブな意見を聞くことはあります。もちろん、同じ業界の人とだけしか付き合っていなければ、視野が狭くなるとは思います。しかし、同じ業界の人の中でも広い視野で物事を考えている人は少なからずいますし、翻っていえばどこの業界でも同じなのだと思います。大切なのはバランス感、という身も蓋もない結論にはなるのですが、軸足を定めるという意味で、業界の役を務めるのも成長には非常に大きな糧となると思います。

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【編集後記】

まだ5年しか経っていないわけですが、気がつけば私よりも後輩の先生も増えました。それもまた、私自身の刺激となり、前向きな力を生んでくれていると思います。ひとりしごとの行政書士ですが、まわりに支えられているからこそ、ひとりでできているのだと思います。

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