【事業再構築補助金】第3回公募〆切を終えて

2021年9月21日、事業再構築補助金の第3回公募締め切り当日、Link-Upは10社の申請をサポートさせていただきました。第2回と申請に要する資料が異なっていたり、入力項目が増えていたりと最終日に慌てて対応された申請者のみなさまも多かったと思います。

今回の補助金を終えたところで、Link-Upのメンバー向けに記事を書きたいと思います。

IMG_6647-2

睡眠不足が続いたので今夜はトレーニングをしてリセットしてきました。おかげさまで眠くて仕方がありません。

補助金申請とは何なのか?(背景と目的)

LInk-Upでは昨年一年で800社ほど、今年はかなり絞って100社ほどの補助金申請に携わっています。スタッフもこの1年半くらいで倍くらいに増えたので、そもそも補助金の申請経験のある人もおらず、そこからのスタートなので暗中模索をしているのが各人の率直なところではないでしょうか。

なかなか研修時間などを設けることができていない中で、改めて述べさせていただくと、補助金申請はお客様が描く将来像を実現するため必要な経費の一部を公が負担してくれるという制度です。

そして、そこで描かれている将来像が合理的なものかどうか、それはなぜか、そしてその手法がやはり合理的なものかどうかということを書面を通じてプレゼンテーションをするのが補助金申請というお仕事です。

申請者は、ご自身の描く将来像に共感していただき、その手法と、そこにかかる経費の妥当性を見ず知らずの人に訴えかけて説得する必要があるわけですが、その説得に有効なツールとしてSWOT分析のようなフレームワークが用意されています。

フレームワークは、翻訳機のようなものです。

自分が「これは素晴らしい方法だ!だって私の直感がそう言っているからです!」と言ってみたところで、相手がそう思わない可能性なんていくらでもあります。ですから、少なくともこう考えれば妥当ですよね、という考え方の筋道を共通のフレームワークを用いることで、見ず知らずの人に「ああ、申請者はそういうことを考えているのだな」ということをスッと伝えることができるようになります。

これらは使わない手のないものですから、その時々に応じて用意されているフレームワークを駆使して補助事業計画の妥当性・合理性を説得していくことになります。

私たちの存在価値とは?(役割論)

さて、皆さんもお気づきのとおり、申請者の皆さんは上記のような「補助金の考え方」やフレームワークを承知していることはごく稀です。ましてや、10ページ以上にも及ぶ事業計画そのものを作成した経験のある方はほぼいないでしょう。やりたいことはあるけど、お金に十分な余裕があるわけではない。そのやりたいことを実現するために国や自治体がサポートするわけですが、さらにそのサポートを受けられるようにするために、私たちのような仕事があります。

ただし、この時に二つの点をよく踏まえないといけません。

主役はお客様。だけど手続きに乗せるために我々がいる。

これは行政書士として書類作成の代行業をするのか、コンサルティング業をするのか、という議論とパラレルに考えられるわけなのですが、お客様が求めているのは後者であって前者でもあるという事実です。

先述したように、お客様は目指す将来像があって、そこに近づくために投資をします。その投資を促すのが補助金ですね。

しかしながら、お客様の多くは日頃暇ではありません。

社長であれば、会社内外の庶務もあれば経営を考えないといけないですし、外出もお多くします。そして考えも日々変わります。ですから、社長に書類を出してもらうことを期待していては、社長の優先順位によってスピード感は異なるため(それが大切な将来のためのことであっても、緊急ではないことは先送りになりがちです!)、締め切りのある補助金のルールから外れてしまうことがよくあります。

けど、サッカーのゲームで手でボールを投げてシュートすることはルール違反で認められていないように、補助金も制度ですからルールの中でしかプレーはできません。

ですから、私たちの役割は、一度「やる」とお客様が決めた案件である以上(私たちは着手金もお預かりします)、そのお客様の結果にコミットをして、当初目的通り補助金申請の準備を尽くして申請まで導くのが私たちの役割ということになります。

壁打ち相手。事業の精度を議論できる場所って社長はほとんど持っていない。

また、私たちは社長たちの頭にあることを書面に落とすだけでは存在価値はありません。

経営はプロがやっても抜け漏れが発生するものです。

ですから、私たちは社長がやりたいことを想像して共感するだけでなく、その実現に向けて必要なプロセスを仮説思考で想像して、そこと社長の考えとのすり合わせをして、事業計画書の精度を高める必要があります。

それに、私もそうですが中々ビジネスの内容を第三者と議論する経験って経営者にはないんですよね。銀行が見せろというから見せるとか、そういう時にしか書面に落とさなかったりで、議論の機会が訪れると結構水を得た魚のようにキラキラお話をされるものです。

私たちの立場は、お客様から情報を聞き取ることだけではなく、必要な情報を引き出したり、深める機会を創ること。ここにものすごい大切な役割があります。

事業再構築補助金は特別なのか?

さて、抽象的に今回は補助金について語っていますが、数多ある補助金制度の中で、今年の事業再構築補助金は特別な存在なのでしょうか?

たしかに、上限額が6000万円というのは補助金としてはなかなかありません。ものづくり補助金ですら1000万円ですごく規模が大きいというイメージを持つのが一般ですが、それに比べると破格なのはわかります。

ただ、仮に補助上限額が50万円の小規模事業者持続化補助金であっても、考えの基本構造は何も変わりません。この事実を必ず押さえてください。

物事には背景があって、なしたい目的があって、その目的を達成するためにどのような手法が費用対効果も含めて合理的なのか。これが補助金として必ず押さえないといけないポイントです。見積もりが必要なのか、相見積もりも必要なのか、補助金申請額が事業目的や手法との兼ね合いで必要最小限でかつ最大効果を生めるのか。

そういったことを一つ一つ大切にヒアリングをして、書面に落とし込んでいく仕事は、それが営利事業だろうが非営利事業でも同じです。

そのため、あらゆる補助金精度が共通のことを聞いているという意味で、一件一件の案件に丁寧に向き合っていきましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする