「おもしろい」と思えるかどうかが推進力を生み出す原動力

前回の記事で、依頼者の「渇望」に目を向けてサービス提供をしないといけないと書きました。でもそれだけでは持続可能なサービスを展開するのは足りません。提供する側の私にとってそのサービス提供の先に描く未来に執着心を持てるものでなければなりません。

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茅ヶ崎JCで実施した「未来”手”想図」という事業。

ニーズに目を向けるのは絶対に大切です。しかし、ニーズが原動力となると、ニーズの状況次第でサービスの需要が上下してしまうため、安定したサービス提供ができなくなります。それは、優先順位の中での選択によって選ばれるものだからです。

たとえば、私が関わる「許認可」などの取得については、それがビジネス上必要とされていても、経済状況が思わしくなければ、そのビジネスに乗り出さないわけです。内容証明や契約書の作成なども、経済状況によっては依頼せずにネットの情報を頼りに自分でやろうとするのが通常です。お財布にお金がなければ、一時的に強い欲求すら生まれて来づらくなります。

このとき、ニーズにのみ基づいて展開しようとすると、そのサービスは成り立たなくなってしまいますから、当然ですけど終焉します。ほとんどのサービスはこういうものです。

しかし、社会にインパクトを創出しているサービスは、その先を見ています。いわゆる「ビジョン」などを掲げる必要があると言われるのは、ここに理由があります。サービス提供者が、ニーズの有無に関わらず、絶対に成し遂げたいと思う強い動機があれば、時流によって移り変わるニーズに左右されずに、ただ時代の流れに合わせた形でサービスを成長させることができます。

これはNPOの活動などで顕著に感じることができます。NPOの活動は、多くの場合ビジネスとしての採算が取れないことがほとんどです。貧困問題にアプローチしようとしたり、教育問題にアプローチしようとしても、受益者の負担能力が低かったり、関心が薄いために、ボランティア事業になってしまいがちです。しかし、だからサービスを提供しないかといえば、そうではなく、貧困問題を解決して全ての子供がのびのびと夢に向かって突き進める社会を実現したり、そういうことが可能な教育を余すことなく提供する社会を実現することは絶対的に大切であり、そうしたいと切望するからNPOの活動があるのです。このようなNPOの活動に収益性を実現できるとすれば、これは営利非営利問わずに理想的なビジネスですよね。

ただそれは非常に困難な壁です。この壁を乗り越えようとするためには、サービス提供者に強い動機付けが必要であり、その根源的な欲求としては提供者自身が「おもしろい」「実現したい」という主体的な欲求を持てるかどうかがネックになるわけです。

青年会議所で活動をふりかえっても「そういえばそうだな」と思います。その事業、本当に大丈夫?と思っても、担当委員長が強い想いをもっていて、それを対象者の欲求も喚起する形で実施できた場合には、提供する側の私たちの組織としても高揚感に包まれ、ただの事業実施以上の効果が生まれている気がします。

冒頭に掲載した写真は、こどもの手形を取って、茅ヶ崎のシンボルであるサザンビーチにつながる「ちか道(みち)」の壁面に貼る事業なのですが、これは茅ヶ崎を愛する人が増えてくれることを願って始められたです。当初はちか道の壁面は落書きだらけで、せっかくのシンボルに向かう時に嫌な気持ちになってしまうことから、それを掃除して綺麗にして、今後落書きなどが行われないようにする目的がありました。茅ヶ崎というまちをもっと大切に、愛して欲しい、という強い欲求が、子供の思い出として残したいという保護者のニーズを満たす形で実現されたとても素敵なモデルだと思います。

そんな取り組みを、仕事でもプライベートでも実施できたらいいですね。

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【編集後記】

こうやって考えてみると、青年会議所で委員長という事業構築の責任者になるというのは良い機会だと思います。私はもう2年目の委員長なので、地元の青年会議所メンバーとしては来年以降の委員長は無いわけですが、以上のような視点は持ち続けたいと思います。

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