京都会議で法人運営のセミナーに出席

公益社団法人日本青年会議所(日本JC)の新年式典に出席するため、京都にやってきました。全国に695ある青年会議所のメンバーが京都の国際会館に集って、一年の運動の指針を共有します。これを「京都会議」といいます。

この京都会議で勉強になった点をざっと紹介していきます。

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1.公益法人格の維持について

公益目的支出について、ボランティア参加してくださった方々の活動費をみなして含める方法に、「無償の役務の提供」というものがあります。本来であれば支出していたであろう額を公益目的支出額に加算して考えるわけです。

ただし、実務上はその算定が非常に難しいわけですね。なぜなら、「この人のボランティアには10万円の価値がある」と言ったところで、その価値は主観的でしかないからですね。そのため、客観的な数値である最低賃金で換算するのが望ましいそうです。

では、組織の内部の人間がボランティアをした場合はどうか?といえば、役員であれば事業計画を遂行する責任を負っているため、ボランティアとしてそこに無償の役務の提供という効果を与えるのは難しいと言われています。また、役員でない一般会員についても、会員は法人の理念に賛同して参画しているものであるため、手弁当であっても活動するのが想定されていると言えます。そのため、一般会員の手弁当での取り組みもやはり「無償の役務の提供」とみなすことは難しいでしょう。

2.著作権について

青年会議所に限らず、様々な催しを効果的に実施するために、イラストや写真といったものをインターネットで仕入れて使ったり、音楽を使ったりすることは多くあります。とはいえ、それって著作権的にどうなの?と問われた時に、はっきりと答えを持っている人は多くありません。

この点につきまして、一番の大原則は「作成者から承諾を得る」ということです。この大原則を踏まえた上で、すでに亡くなられている場合にどこから承諾を得るか?といった問題や、作成者が不明な場合の方法などを法律上定めています。

また、そもそも著作権を法律で保護しているのは、著作権者が経済的な不利益を得たり、誹謗中傷にさらされないようにするという目的があるのですから、このような観点から様々な例外的な取り扱いが定められています。

その例外については、下記のページに詳しく書いてありますので、ご参照ください。

▼文化庁:著作物が自由に使える場合
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html

3.旅行業法について

地域の子供たちにキャンプを体験してもらって、地域の魅力を感じてもらうことを目的としたサマーキャンプ事業は、全国各地の青年会議所で主催されています。しかし、昨年このような取り組みに「待った」がかかる動きがありました。

▼日経電子版「自治体の子供向けツアー中止相次ぐ 「旅行業法違反」指摘で」(2017年7月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO19306700X20C17A7CC1000/

これは地方自治体が主催するものについてのみならず、様々な市民団体が企画するものについて波紋を呼びました。結論的には、旅行業法に抵触する部分については、その旅行業の登録をおこなっている企業に委託するなどして、コンプライアンスを守るしかありません。

善意の事業とはいえ、ルールは守りましょう。

4.クラウドファンディングについて

資金調達の1つの方法として近年急拡大しているクラウドファンディングも、青年会議所で利用しています。寄付を募る、という従来の手法にインターネットが掛け合わされて生み出された仕組みですが、信頼と共感が重要な要素になるため、広報の仕方がポイントになってきます。

この点、日本JCでは昨年からFAAVOとの連携プロジェクトを進めてきましたが、本年はさらに踏み込んで、FAAVO内で展開されたプロジェクトを日本JCのニッポンサイコープロジェクトというWebサイトで発信しやすくしたという改善が図られました。

また、JCの事業構築の特殊性(2度の協議クールと1度の審議クールなど)をFAAVO運営事務局で把握するのは難しかったという反省から、JCの特殊性を踏まえて日本JCで窓口を担うことにもなりました。

こうした1つ1つの改善によって、さらに全国各地から展開される運動にはずみが付きそうです。

以上、ざっとご紹介をさせていただきましたが、一番印象的なことは、日本JCはかなり踏み込んで各地会員会議所をバックアップしていこうという体制を取っているということです。近年のJC運動は、理念的な運動から、かなり具体的な成果を目指した取り組みになっています。政治団体ではないものの、まちづくり・国づくりに取り組む様々な団体がいる中で、JCが果たすべき役割というのがかなりそういう具体的な部分に移行してきているのではないでしょうか。

数々の支援策があることをメニューとして理解し、積極的につかいこなせるLOM(各地の青年会議所のこと)が今後一層活躍していくと思います。

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【編集後記】

京都入り2日目。毎年この時期にやってくるのは、1つの定点観測となり、自身の考えを深める機会となります。昨日は1年ぶりにお墓参りもおこない、本年度の挨拶をできたのは良かったです。

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