クラウドファンディングは単なる寄付募集ではなく、運動発信の仕組み

資金調達の方法に、クラウドファンディングの言葉を耳にすることが増えました。インターネット時代の今、この仕組みはすこぶる様々なチャレンジの門戸を開いてくれました。でもまだまだハードルが高い、と感じてしまいます。チャレンジするならば、ある種の気合が必要です。

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クラウドファンディングって?

金融機関でもなく、株主でもなく、誰かからの借り入れでもない資金調達。要は寄付です。広く、浅く、インターネットを通じて場所を問わずに寄付を募集し、受け付けることのできる仕組みです。

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実は、先月来Readyforさんのご協力で、1つのプロジェクトを準備していたのですが、残念ながら頓挫することになってしまいました。(理由は後ほど記載します)

社会貢献に限らず、「こんなチャレンジをしたい!」と発起してクラウドファンディングのサイトにプロジェクトを登録し、その内容に賛同した人が、数千円から数万円(中には100万円という高額も!)をプロジェクトに寄付する仕組みです。

クラウドファンディングのサイトを運営する会社は、成功したプロジェクト収益の約15%前後のマージンを受け取るビジネスモデルになっています。

「なに、マージン取るの!?」

って思う方もいるかもしれませんが、彼女たちは効果的なプロジェクトになるように、サイト内に盛り込む情報や情報の出し方について、かなり詳細にアドバイスをしてくれて、実際に作業までやってくれます。決して高くないマージンだと思います。

クラウドファンディングの様々なプロジェクト

では、どんなプロジェクトが行われているのか?という話なのですが、今だとこんなものが行われていますね。

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現在Readyforで募集されているプロジェクト(一部)

目的を持って、Tシャツを作りたい人たち、パン屋さんを立ち上げたい人たち、ビジネスサービスを立ち上げたい人たち、学校を作りたい人たちなど、なんだか壮大なスケールばかりですよね。

Tシャツを作りたい人たちは、単にそれをしたいというのが目的ではなく、地域おこしをして、人をつなげたい、という大きな目的があります。その手段としてTシャツをみんなで作りたいって言っています。

また、パン屋を作る人も、単にビジネスとしてパン屋をやりたいっていうだけでなくて、背景には高齢者の孤立化を防ぐ仕組みを作りたいんだっていう理念があります。

このように、共感される取り組みには必ず理念があって、それを支えるだけの手段として寄付を募るためのプロジェクトが存在しています。

クラウドファンディングの本質は、新たな「参加」の仕組み。だから、ただのお金欲しさではうまくいかない。

クラウドファンディングでお金を集めるのって実はすごく難しいものです。なぜなら、「共感」されないといけないからです。

起業とかビジネスって、究極的には他人に理解されなくてもスタートすることができます。自分でお金を用意すれば始められるし、なかなか売れないサービスでも、さすがに1000人くらいに声かければ、1人くらいは買ってくれるものだからです。

でも、クラウドファンディングは、全く見向きもされないプロジェクトも少なからず出てきます。それは、「応援したい」と思えないからです。

どのような背景事情があって、理念があって、想いがあるのか。

これが人を巻き込むプロジェクトの本質になります。

ただ、これだけの気持ちがこもっているプロジェクトゆえに、発信力がどんどん増してきて、他人からの苦言や足をひっぱる動きも出てきます。このとき、ローカルに活動する人は、どうしてもしがらみに負けそうになってしまいます。

「嫌なことを言われるくらいならやらなくても良いかな・・・」

こういう話を聞くと、もう最悪だなぁと思ってしまいます。志高く物事にチャレンジしようとしている人が、大好きな地域のためになると一念発起したのに、その地域からネガティブな発言が出てきて苦しんでしまう。これほどまでに残念なことってないですよね。

クラウドファンディングは、チャレンジを後押しする仕組みであると同時に、社会に対するインパクトを創出し、1つの運動効果を生み出す仕組みです。これを「寄付集め」と表面的に捉えてネガティブに考えてしまう人は、想像力が欠落しています。

私は、ビジネスでも社会貢献でもその分野を問わずにチャレンジしようとしている人を心から応援したいと思って、自分の仕事をしています。そんなネガティブな発言に左右されてしまいそうな人を、守れるような強さを持たなくてはと、強く思いますね。

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【編集後記】

3年前に、緑茶「伊右衛門」で有名な京都福寿園の福井社長の講演をお聞きした時に、伝統を守るためには時代に即した変化をしていかなくてはならないのだと、お話をされていました。ペットボトル飲料に参入するというのは、当時の時代からすると伝統を軽んじた「あり得ない」選択だと大きな批判に遭ったとお聞きしています。しかし、これからの時代も世間に緑茶を愛用していただくために必要な変革だったわけです。

自分の身の周りだけの問題として捉えるならば、面倒なことは諦めて、居心地よく突き進めば良いと思いますが、場所を超え、時代を超えた取り組みをしようとするならば、やはり相応の覚悟が必要なのでしょう。

翻って、自分はどんな取り組みをするのか。次世代の行政書士業を考え、インパクトを生み出さなくてはならないと思います。

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