「いまいち理解できないなぁ」ってときの対処法

行政書士の仕事に限らず、仕事中に「いまいち自分の理解が足りていないなぁ」って感じる部分は誰にでもあると思います。特に、開業したての人や、まだまだ経験の浅い人は、そんな壁にぶつかることだらけだと思います。そんなときに、一番避けなければならないのは、「億劫になって遠ざかること」です。ちょっと勉強したらなんでもないことばかりですから、手間を惜しまずどんどんやっていきましょう。

2018-01-26 15.59.24

地元の中学校にて

事業をしていれば壁にぶつかることなんて日常茶飯事です。

知識が足りないことなんてほぼ毎日感じますし、思ったように仕事が進まなくて不安になってしまったり、それに引きずられて想定スケジュールを大幅に押してしまうことも当たり前に発生します。

正直、そういうときの自分のメンタルたるや、相当病んでしまうことはあるもので、最近はかなりそういうことが無くなってきましたが、体の調子が悪いときとか、様々な事情で弱っているときにガツーンって来てしまうことはやっぱりあります。

たぶんこれは、一生こういうものだと思います。ただ、独立開業すると一生不安定なメンタルで過ごさないといけないのか?といえば、その不安はかなり弱めることが可能だと思います。それは「不安の原因に向き合って、一定期間戦うこと」です。

例えば、建設業の許可申請や経営事項審査(経審)という手続きが、行政書士のメジャーな業務にありますが、この手の仕事の最初の難関は、一つ一つの書類の意味や目的を理解することです。とりわけ、社会保険に関する書類は、社会保険労務士っていう専門家が取り扱うものであることから分かるように、かなり専門知識を必要とされてきます。このような知識を、そうそう誰かに聞いているわけにもいかないですから、誰かとチームで動いていてすぐに聞けないのであれば、ちょっと勉強するしかありません。

具体的な例を挙げますと「常勤性の確認資料」というものがあります。

建設業の許可を取得するためには、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」と評価できる人を会社内に「常駐」させなければなりません。「経営業務の管理責任者」とは、工事という大きなお金や多くの人が動く仕事の特性として、建設業務をコントロールできるだけの経営的な知見を備えた人が常に会社にいなければ、さまざまなトラブルが発生して、建設業全体に対する信頼を脅かす恐れがあるため設けられている制度です。また、「専任技術者」とは、専門的な工事知識を前提に、きちんと工事の詳細について対外的に説明できるスキルを持った人材が会社に常駐していないとすれば、経営力があったとしても危険な工事をしてしまう可能性があるため設けられている制度です。この専任技術者は、許可を受けようとする業種毎に設置しないといけないため(重複は認められています)、大工なら大工、電気工事なら電気工事の専任技術者の要件を備える人材を会社で抱えないといけないのです。

では、このような「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」が、果たして会社に「常駐」していることを「書面」にて審査しようとする場合、どのような書類が必要なのかというのが次の問題です。「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の要件を満たす人が会社にいたとしても、実はその人は他の会社で働いているかもしれないですよね。彼らには、常駐してもらわないといけないルールですから、それを書面で裏付ける必要があります。

この点、裏付けとなる書類にはいくつかの選択肢があるのですが、代表的なものは「健康保険被保険者証」というものがあります。

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この場合、「事業所名称」のところに、建設業の許可申請をおこなう会社名が入っている必要があります。なぜ健康保険証で常勤性になるかと言いますと、仮に複数の会社に所属していたとして、どの会社でも社会保険適用になるほどに働いていれば、いずれかの会社をメインと考えて届出を出すことになります。この場合、そのメインとなる会社で保険証を受けているとすれば、少なくともその会社では「常勤」と評価できる程度に働いていると言えるからです。

さて、新規の建設業許可申請の場合においてはこのように言えますが、経営事項審査(経審)においては、技術者の常勤性についてもう少し踏み込んで要求されています。

経審は、その会社の経営内容について、様々なモノサシを用いて点数を出す制度です。ここで算出された点数を基に、公共工事の入札で他の会社の戦うことになります。

この経審の点数を算出するプロセスの中で、「建設業に従事する職員(技術者及び公認会計士等)の常勤確認書類」というものが求められています。

この常勤確認書類は、先の新規許可申請の場合とパラレルに考えれば、「健康保険被保険者証」でいいじゃん!ってなりますが、実は違います。経審における技術者は、「六カ月を超えて雇用されていて、審査基準時(決算日)において常勤であること」を証明しなければなりません。

これは、点数加算のために審査基準時に短期的に雇用を行って点数操作をすることを防ぐことや、その1年間の営業内容を点数づけるのに、人員の動きが激しい場合に、安定的な点数を導くことができなくなってしまうことを防ぐ趣旨で定められているのだと思います(私見)。

そこで、実務上は「審査基準日直前に通知を受けた社会保険の標準報酬決定通知書」と、「その前年分の標準報酬決定通知書」若しくは「健康保険被保険者証」が主に用いられます。これは、標準報酬決定通知を用いることで、実質的な業務への従事度合いを測る趣旨でしょう。

さて、一つの例として建設業における「常勤性」の話を挙げさせていただきましたが、ここで終わらせてしまうと知識の広がりが無くなってしまいます。上記のケースであれば、「必要な書類が何か」ということは知識として頭に入りますが、そもそも「標準報酬決定って何?」という前提知識がないと、他の場面で応用が利かなくなってしまうのです。(常勤性を求められるのは建設業以外の許認可実務にもありますが、そこで応用させるには基本知識が何より大切です。)

今回はここまでとさせていただきますが、知識不足については忙しくてもいったん集中して勉強して、今度はその得た知識を応用するために、派生した基本知識を押さえる、ということの繰り返しで、おそらく徐々に苦手な分野が減ってくるのだと思います。私自身、まだまだ相当未熟者ですが、そうやってステップアップを楽しんでいきたいと思っています。

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【編集後記】

早く次の一手に行きたい、という焦りを最近はずっと感じているところですが、焦っても仕方がなく、結局は日々の中の無駄な時間をしっかりと詰めて、密度を濃くしていくしかありません。一発逆転的な発想ではなく、地に足をつけて一歩一歩です。

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