サービスを買ってもらう、プロジェクトを応援してもらう、出資をしてもらうといった様々な試みを行おうとするとき、想像していた以上に大変だという経験はどなたにでもあると思います。クラウドファンディングやNPOの各種プロジェクトに関与させていただき、また、今回読んだ『社外プレゼンの資料作成術』(前田鎌利/ダイヤモンド社)を踏まえて、そのポイントについて書きたいと思います。
実は昨日、私の結婚記念日でした。そのため、一日お仕事をお休みさせていただき、妻とデートをしていました。そんなときに出会ったのが、上記写真のお祭りです。
南アフリカのリゾート地をイメージした、横浜の赤レンガ倉庫を舞台にしたイベント。なんだかとても魅力的な空間でした。
私もNPOや青年会議所で様々なイベント・事業に関わってきましたが、イベントごとに集客だったり反響って様々です。一見するとすごくいいテーマの講演会なのに、全然集客できなかったり、誰この人?みたいなゲストを読んでいるにも関わらず会場が熱狂に包まれたり。
総じて振り返ってみると、結局大切なことは結構シンプルなところに行きつきます。
何のために、誰のために、それをやるのか?(ロジック)
あらゆる取り組みには、目的がって、対象者がいて、成果に結びつけるための事業内容があります。つまり、事業を企画するには理由があるのです。
この理由が曖昧だったり、的を射ていないものだったりしますと、当然ですがボヤけた事業になってしまい、結果的にぼやけた結果にしかなりません。
たとえば、その地域で防災イベントをやるとします。防災が大切だよね、ってことは何となく共通認識になっていますが、それが自分事として落とし込まれている人って決して多くありません。だから防災活動の普及がなかなか進まないのです。
これは防災イベントの事業目的が「防災意識を啓発する」みたいなぼやけたことになってしまっているから、対象者もあいまいで「市民全体」みたいなことになって、「防災に詳しい人に講演をしてもらう」みたいな目も当てられない形になってしまうのです。
事業を企画するには明確な目的、明確な対象者、明確な手法が必要です。
防災の例で言えば、
この地域では地震被害による建物の倒壊からの二次災害が一番恐れているところだが、実際にはどうやって防げば良いのか分からない。だから、地震発災時にどのように行動するのが良いのかをきちんと周知する必要がある。(目的)
こうすると、目的って明確になりますよね。この目的が明確になれば、
A市では特にB地区がこの危険が高いと言われている。まずはその方々にきちんと周知して、派生的にA市前提に広がる事業をつくろう。(対象者)
このように効果的な対象者の選定をすることが可能になります。そのうえで、
B地区の方々に関心を持ってもらえる会場選定、広報手段を検討し、この地域は高齢者が多いので高齢者ウケの良いX氏に講師をお願いしよう。(事業内容)
という形で決まっていくのです。
事業を創っていくプロセスにおいて、かならずこのロジックが必要になります。
ただ、このプロセスをきちんと踏んでいても、うまくいかないケースがあります。それはなぜでしょう?
なぜそれをやりたいのか?(想い)
非常に定性的な話になってしまいますが、ずばり主催者側の「想い」があるかどうかがポイントになります。
先の防災の例で言えば、上記のような取り組みを企画しているにも関わらず、当の企画者が「まぁこのようにやっておけば上手く形になるんじゃないかな」という程度の気持ちであれば、会場を貸してもらえないかもしれないし、関係者も手伝ってくれないかもしれません。チラシをつくってもヤッツケ感が出まくっていて、魅力的にも映りません。当然ですが、お客さんは来ないでしょう。
良い事業をするという前提には、「それを自分が企画しないといけないんだ」っていうようなモチベーションというか、使命感があるものです。それらが強いからこそ、「なんか、この取り組みは参加した方が良いかもしれないな」という直感に訴えられるのです。
私たちは感情的な生き物です。気持ち一つで、物事の感じ方がどうにでも変わってしまうほどに、感情に支配されてしまう生き物です。
ですから、ロジックがしっかりしていても、その背景として「自分がなぜその取り組みをおこなうのか」という明確な理由づけ、明確な根拠を持つことがとても大切です。仮に思い込みでも良いと思います。その思い込みが強いメッセージ性を生み出すわけです。
事業の組立ても、プレゼンテーションも、全部同じ。
で、こういったことを考えながら、結局これはあらゆることに通じるなぁと思いました。私は仕事柄、多くの起業に立ち会います。また、様々なプロジェクトに関与しますし、審査をする立場にもなりますから、本当にイベント・事業をたくさん見ています。
上記のロジックと想いの重要性は、おそらくそれを否定する人はいないと思いますが、それでも同じテーマの取り組みでも結果が大きく左右されるものです。それはなぜか?
ずばり、伝え方なのだと思います。
冒頭にご紹介させていただいた、『社外プレゼンの資料作成術』(前田鎌利/ダイヤモンド社)によれば、「課題→原因→解決策→効果」という論理パターンと、感情に訴えかけるための「共感→信頼→納得→決断」というプロセスを融合させ、シンプルに伝えるための手法を整理して紹介してくれています。
私はこの本を、Webサイトの構築方法について考えるために読んだのですが、結局のところ、プレゼンも事業構築もすべて一緒だなぁと感じました。ですから、ある程度抽象化しつつ、ここに書いてあることをそれこそ様々な場面で実践していくことが大切なのだと感じました。
まとめ
結局、買ってもらう、応援してもらう、協力してもらう、という相手のアクションを求めたときに、ロジックをきちんと筋道立てて考え、使命感を持って取り組むこと。そして、それらは常に相手目線であることを大切にし、それをシンプルにわかりやすく伝えること。
非常に当たり前のことですが、ほとんどうまくできていないからこそ、丁寧に実践していくことが大切だと思います。
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【編集後記】
所有している書籍類・資料類を断捨離中です。どこまでミニマリストになれるか、楽しみです。
【昨日の1アクション】
MARINE & WALK YOKOHAMAに行ってきました。とても落ち着いていて、お気に入りのスポットです。
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