(建設業許可)経営業務の管理責任者を深ぼってみる

行政書士になって10期目になるものの、未だに奥深いというか難しいなと感じるのが、建設業許可申請です。その中でも今回は「経営業務の管理責任者」という要件に大変苦労しました。その苦労を皆さんにして欲しくないので備忘録的に残します。

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そもそも建設業許可って?という話は今回省きます。具体的に許可の取得を考えているか現在許可申請の準備をしている方向けです。

周知の通り、建設業許可の要件として「常勤役員又は個人事業主である経営業務の管理責任者を置いていること。」があります。常勤とは文字通り「非常勤ではない」ということを指し、つまりは専業と言えるかどうかという要件です。また、法人にとって役員かどうかは明白であり、重要なポイントとしては手続きをしているかどうかという点に尽きます。この条件の緩和はほぼ認められません。(この意味で、主たる事業が別にあってサブ的に建設業許可を申請する会社の場合には、国家資格を持ってる従業員がいれば許可を簡単に取れると誤解してしまう人がいます。しかし、むしろ役員にできるかどうかで断念するケースが少なくありません。)

ですから、①常勤性と②役員であるかどうかは大前提としてクリアしましょう。

「経営業務の管理責任者」とは?

無事に経営業務の管理責任者に据える予定の常勤役員が確保できたとします。しかし、それだけでは経営業務の管理責任者にはなれません。

許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者として
の経験を有する者
イと同等以上の能力を有すると認められた者

許可を受けようとする建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位
にあって次のいずれかの経験を有する者
執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
6年以上経営業務を補佐した経験

二 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し6年以上次のいずれかの
経験を有する者
① 経営業務の管理責任者としての経験
執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験

三 その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者

この経験が求められるのです。ちょっと読み解きづらいので丁寧に行きます。

まず、争いがないのは、内装仕上げ業の許可申請において、過去に内装仕上げ業の事業を5年以上役員として経営していたのであれば争い無く経管として認定を受けれます。(5年間経営していたという証明の負担は残りますが)

次に、内装仕上げ業の許可申請に置いて、内装仕上げ業の事業を経営していたわけではないものの、他の工事業について役員として経営経験が6年以上あるなら、内装仕上げ業としての経管になれます。(これも証明の負担は残りますが)

では、それらの工事業に携わっていたものの、例えば会社の社長は父親で、その息子は一緒に事業を切り盛りしていたものの役員に入っていなかった場合に、その息子を経管として認定しようとする場合は上記の2つのパターンにはまるか?というとハマりません。なぜなら、役員でなかったからです。

このとき、「役員ではなかったものの経営業務の管理責任者として活躍していた」と証明することはとても大変です。

許可を受けようとする建設業に関し、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験

執行役員等とは、取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験をいいます(神奈川県の手引き20頁参照)。

はっきり言って、普通の中小企業ではまず認められません。

許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務を補佐した経験

「経営業務を補佐した経験」とは、許可を受けようとする建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置下請業者との契約の締結等の経営業務に、法人の場合は役員に次ぐ職制上の地位にある者、個人の場合は事業主に次ぐ職制上の地位にある者として、従事した経験をいいます。(神奈川県の手引き20頁参照)。

先に例として挙げた親子で建設業を無許可で営業していたケースでは、役員になっていない息子を経験としての経験があると認定するためにはこの要件をクリアする必要があります。

なるほど、何となくイメージは湧きますよね。

親子二人でやっていれば、親があまり会社に来なくなって、息子がすべてを切り盛りをしているというケースはまぁよくある話です。でも、それが実態としても、経管として認められるかどうかは別の話しです。

この認定方法について、神奈川県は下記の通りアナウンスしています。

(ア)営業部長その他の管理職社員以上の地位にあったこと。
(イ)経営業務の執行に関し、役員に準ずる権限を有していたこと。
(ウ)(ア)の地位において、(イ)の権限に基づき、建設業の経営業務を総合的に管理した経験又は これを補佐した経験を有すること。

この3点を全て満たさなければなりません。

今回苦労したのもここの部分でした。この証明が難しいのです。

確認資料
P56①役員期間の裏付資料に代えて以下の資料が必要。P56②の資料は別途必要。

(例)役員補佐の場合

(ア)経験した法人の組織図その他これに準ずる書類・・・・・・・・(原本証明)(証明する期間分)
・準ずる地位にあった者の氏名、役職名及び直属の役員の氏名が確認できるもの。直属の者が 役員であったことが必要です。

(イ)組織図で確認できる直属の役員が記載された(ア)の法人の履歴事項全部証明書・商業登記簿謄本、閉鎖事項全部証明書、閉鎖謄本(原本)・・・・(証明する期間分)

(ウ)(ア)の法人の業務分掌規定、定款、執行役員規定、取締役規則、取締役就業規則、文書決裁規定、取締役会議事録その他これらに準ずる書類・・・・(原本証明)
・準ずる地位にあった(ア)の役職の者が建設業の経営業務を行う旨が明記されていること。

(エ)具体的な業務執行内容が分かる書類。工事請負契約の締結等建設業の経営業務に関する決裁書、 社内稟議書、予算実行伺い等の書類。・・(証明する期間分(執行役員等の場合は5年以上、補佐経験は6年以上)で各年1件以上添付。原本証明)
・準ずる地位にあった者の氏名、権限が確認できることが必要。

(オ)経験した法人に在籍していた期間を裏付ける書類(P76 参考)・・・・(証明する期間分)

今回弊社で申請させていただいた際には、(ア)(ウ)は過去の総会資料からそれに近しいものを見つけて確認資料に添付しました。ただ、(エ)にはすこぶる苦労しました。というのも、小規模な企業ではほとんどの了承事項は口頭で行っているため、書面という書面が残っていないのが普通です。この(エ)は要は職務権限に基づいて実務をやっていたかの資料となるため、実はそれを証明する資料ってなかなかないと思います。

今回は、この資料として、職人さんから契約及び料金見積の了承を求められた書類と、それに基づいて当時役員でなかった息子が決裁していたことがわかる書類があったため、受理にいたりました。(あしかけ2か月強)

とても長くなってしまいましたが、許認可も補助金も外国人の在留資格の申請も全てやってきた身として、改めて建設業許可の申請の奥深さを感じます。おかげ様で経管について10年目にしてようやくマスターした気がします。

以上、どうでしたでしょうか?

私は準ずる地位での経管申請を初めて扱いましたが、これほどまでに難しいのだなと率直に思いました。おそらく、今後皆様の中にも同じように悩む人が現れると思いますので、その時にこの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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【編集後記】
新型コロナウイルスの影響でいろいろと生活の変化を皆様余儀なくされていることと思います。弊社Link-Upも従業員は在宅ワーク化させて急場を凌いでいる状況ですが、やはり在宅で成果を出せるようにするには相応の苦労があることを痛感しています。様々な環境下で自分らしく活躍してほしいとは素直に思いますが、事務所としては利潤を上げなくてはならないため、生産性をいかに高められるかがとても重要な課題として私の肩にのしかかっています。。

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