国の平成29年度補正予算が組まれ、3月9日から5月18日の公募期間で小規模事業者持続化補助金の募集がはじまりました。根拠法令は補助金適正化法です。ホームページやチラシ、パンフレット、会社の看板の作成などに使える販路拡大(商売繁盛)系の補助金です。もちろん、補助されたお金は返さなくて良いものです。
今回は、申請に関する最重要ポイントともいえる「串刺し」(←私が勝手に使ってる表現です、はい。)について解説させていただきます。
そもそもこの補助金ってどういうもの?
冒頭でもご紹介させていただきましたが、この補助金は、日本を支える中小企業の中でも、まだまだ規模の小さな事業者の商売を後押しするために、国(中小企業庁)が売上拡大戦略について最大50万円補助します!というものです。大雑把な書き方してますが、ほぼ合ってます。
そもそも「補助金」とか「助成金」って言葉を耳にされる方も多いかと思いますが、「補助金」というのは経済活動を後押しするために、主に経済産業省(中小企業庁はここに含まれます)が主導して資金援助をするものを指します。補助金の目的は、経済活動の活性化。これに尽きます。
他方で、「助成金」っていうものも耳にされますよね。この助成金は、社会保険料を財源として労働環境を改善したり、社員のスキルアップを図るために雇用主が実施する施策を後押しする厚生労働省(労基署などの管轄ですね)が主導して資金援助するものを指します。助成金は、国の施策として日本全体として労働環境を改善していこう、という政策を浸透させるためのものですから、基本的には条件を満たせばどの会社でも支給されます。
助成金が原則としてどの会社でも支給されるものであることと対照的に、補助金は、有効な事業計画(戦略)についてのみ補助するものです。そのため、有効な事業計画を持っているかどうかが審査され、しかも経済活動ですから相対的に「より良い」事業計画について補助される仕組みです。
ですから、補助金は返す必要のないお金なのですが、それをもらうためには「良い事業計画」を立てなければなりません。受験競争みたいなものですね。そこまでハードなものではないですけど。
どうやったら補助金をもらえるの?
小規模事業者持続化補助金の話に戻します。
では、具体的にどのようにすれば、この補助金がもらえるのか?という点について、ご紹介させていただきます。
まず、概要については下記の通りです。
【公募期間】 平成30年3月9日〜5月18日(当日消印有効)
【対象者】 小規模事業者(下記の表をご覧ください。)
【対象事業】 販路開拓の取り組み、業務効率化(生産性向上)の取組
【補助金額・率】(補助金額)最大50万円 (補助率)補助対象経費の2/3以内※詳細は下記をご覧ください。
http://h29.jizokukahojokin.info/#gaiyou
もし初めてこういう補助金のことに関心を持たれた方にとっては、いきなり「これを読んで理解してください」と言われても困ってしまうかもしれませんが、冒頭でお伝えさせていただいたように、ホームページやチラシ、パンフレット、会社の看板の作成などに使える販路拡大(商売繁盛)系の補助金で、30万円のホームページなら20万円、90万円のホームページなら50万円まで国がお金を出しますよ、って内容です。
この補助金はかなり使い勝手が良いということで、本当にすごく人気です。人気が出過ぎて、以前は大したことのない計画でも通っていたようですが、今では結構作りこまないと採択されない状況になっています。
▼公募要領(説明書)http://h29.jizokukahojokin.info/files/8815/2057/3608/koubo_h29.pdf
この説明書を読んで、書類を作成していくことになります。
と言われても、説明書もなかなか読みたくないですよね。。
要は下記のような仕組みになってます。
大きく分けて、「経営計画」と「補助事業計画(今回の補助金の申請内容)」を書くことになります。読んでみると、なんとなくイメージ湧きますでしょうか?
経営計画というのは、いつの時点においても自社でしっかりと作っておくことが望まれます(「望まれます」と書いたのは、実際にそこまできっちりやってる会社は少数派だからです。)
ただ、これらを何となく文字を並べているだけではダメなんです。ポイントは、「経営計画」と「補助事業計画」とを、串刺しにすることです。
「串刺し」がポイントって、どういうこと?
たとえば、
「弊社は塗装業を営んでいます。お客様は主に個人の方々です。近年は一般の方々もインターネットで様々な情報を入手して、自分たちでDIY(ドゥーイットユアセルフ!)をするようになってきました。そのため、弊社の所在する地域の塗装業は軒並み売上が下がってきています。今後もこの傾向は回復しないでしょう。そのため、お客様のニーズに沿ったDIYにもコミットできるような取り組みを計画していき、お客様との信頼を構築して展開して参ります!」
というような経営計画を練っていたとして、
「今回の補助事業のタイトルは、「DIYなんかに負けてたまるか!プロに依頼させてやる戦略」と名付けました。12月までにDIYのデメリットをセミナーで伝えまくって、その結果一般の方々は弊社に注文するようになるでしょう!だから、セミナーのお金を補助してください!!」
という補助事業計画を書いていたら、おいおいっ!!ってなりますよね。DIYにコミットしていくことを今後の計画として掲げていると語っておきながら、DIYに対峙した補助事業計画を作ったら、「言ってることとやってることが違うジャーーン!!」ってなるわけです。もちろん、補助金申請は採択されません。
このようなケースであれば、
「今回の補助事業のタイトルは、「プロが教えるDIY。頼られる塗装業として集客を図る!」と名付けます。12月までにDIYのセミナーを5回開催して、そこで顧客との信頼関係を構築し、DIYの魅力を感じてもらいつつも、やはりプロに任せたいなぁという顧客心理を構築していきます。その結果、ただ塗装業の宣伝をしていたときよりもDIYに関心のある層を取り込むことができ、その内の20%程度は弊社の顧客になると見込んでいます。」
というような形で、「経営計画」と「補助事業計画」とが論理的に一貫性を持つように作る必要があるわけです。このことを「串刺し」と表現しています。
ざっくばらんに語らせていただきましたが、ぜひ皆さまの会社でもチャレンジしていただけたら良いなぁと願っています。
というのも、こういった「計画を立てる」ということって、私たち日本人は実は結構苦手というか、勉強していないんですよね。学校教育でも、課題が次から次へと与えられて、それを解答していくような内容になっています。現状を分析して、それに対して将来を予測し、そこに対してアプローチを考えていくというプロセスを経て起業に至っている人って、決して多くないと思うんですね。ほとんどの場合は、勘と経験に頼っているわけです。
ですから、このような補助金をきっかけとして、忙しい中でもチャレンジしていくことが、すごくいい練習になりますし、その成果として補助金までもらえたら超ラッキーでしょ!って思うのです。
実際、私のお客様でも、また友人の経営者でも、「補助金をもらえたことも良かったけど、しっかりと計画を作って実行したことで、本当に売上が上がりましたよ!」って声をたくさん聞いています。
あまり計画を立てる経験を立ててこなかった会社が多いからこそ、計画を立てると経営がうまくいきやすい、という関係は間違いなくあります。5月18日まで時間はありますから、ぜひチャレンジしてみてください。
ちなみに、北川さんのところで補助金申請やってよ!ってご依頼をいただくことも多いのですが、弊社は顧問契約を締結させていただいているお客様のみご依頼に応じて対応させていただく形にシフトしました。(当初はお受けしていました。)
これは、この計画をつくるプロセスこそが会社のためになる、と本文に書かせていただいたことに基づくのですが、顧問契約をさせていただいている会社であれば、一緒に考えて、クライアント様と一緒に走ることができるので、その趣旨に反しないからです。
この補助金は、商工会議所・商工会が窓口になって、そこのスタッフの方々が申請書類作成のサポートもしてくださいますので、まずはお近くの商工会議所等にご相談されると良いと思います。
とはいえ、どうにもならなそうだぁーーー、お手上げだぁーーー、ってきときは、ご相談ください。笑
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【編集後記】
筋力トレーニングを再開して1ヶ月半が経ちました。なんだか例年にないくらいに花粉症の症状が緩和している気がするのですが、気のせいなのでしょうか・・・
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