事業を安定させたい、拡大したい、という気持ちがあるなら、まずやるべきはルーティンを作ることです。
行政書士の仕事は、その数は4万種類にも及ぶなんてことを聞いたことがあります。それくらい、手続きには種類があり、行政書士の独占業務があるということです。
行政書士の仕事は、報酬を得て官公署に提出する書類の作成や申請手続きの代理を生業とする仕事で、これ以外にも、契約書の作成など権利義務に関する書類などを専門的に作成します。官公署とは、国と地方公共団体の諸機関の総称を指しますが、要は「お役所」と言い換えることができます(とはいえ、税理士の独占分野や弁護士の独占業務など他士業の独占業務はおこなうことができません。)。
さて、このような幅の広い仕事が可能な行政書士という仕事ですが、独立開業して生き残れる事務所は決して多くはありません。それには幾つか理由があると思いますが、私が特に最近心がけているのは「ルーティンをつくる」ということです。
どういうことかと言いいますと、行政書士の仕事は幅が広い一方で、仕事内容が一般的に知られていないため、いまいち「何屋さん?」という質問に答えられていないことが多く、仕事の受注はもっぱら知り合いからの紹介で成り立つケースが多いのです。
もちろん、紹介でやっていけるなら素晴らしいことですし、私も営業をほとんどしないため売り上げの90%以上は紹介になりますが、このやり方では受注できる仕事量がすぐに頭打ちしてしまうことになります。
というのも、仕事の幅が広いということは、各分野の仕事の知識をなかなか極めることができず、仕事の型を作る機会がなかなかないため、一見当たりの仕事のスピードがどうしても下がってしまう傾向があります。事実、私自身もこの2年くらいは受注量が大幅に増え、仕事の分野も著しく広がってしまったため、かなり苦労しました。
しかし、たとえばラーメン屋さんにも味噌ラーメンを売りにしているところもあればとんこつラーメンを売りにしているところもあるように、その分野に特化して洗練させ、後はその質を維持しながら定型的に売り続けることができるから、今度は広報活動に目を向けたり、作業方法の改善に目を向けることができ、社員教育が可能となり、売り上げを引き上げて、多店舗展開ができるわけです。
もし、「どんなラーメンでもつくりまっせ」という売り方をしていたらどうでしょう?
まずもってそのラーメン屋には行列はできませんよね。同時に、値段も引き上げなくてはならなくなります。割に合わなくなるから。
これは行政書士にもそのまま当てはまります。
仕事の種類が何万もあるからといって、何でも屋になるのは、それが一番簡単なことなのですが、なかなかワーキンプア状態を抜け出すことはできません。そして、その分だけ仕事の専門性は阻害されてしまい、結果として「いい仕事」に到達するまでの道のりが長くなってしまいます。
自分なりの「型」を作り、磨き上げるためにも、是非ともルーティン化を心がけましょう。